腎臓内科
腎臓病専門医がさまざまな問題に幅広くお応えいたします
腎臓内科では主に腎臓にまつわる疾患やトラブルについて広くご相談いただけます。泌尿器科とは異なり、腎臓の機能そのものに関する問題や疾患の治療、異常の早期発見を目指す診療科となります。
気づかぬうちに進行しやすい腎臓の病気
腎臓は状態がとことん悪くならなければ自覚症状がほとんど現れない臓器として知られています。そのため早期発見が難しく、ご自身で何らかの異変に気づく頃にはかなり悪化しているケースが多くみられます。その結果、今や日本において透析治療を必要とされている患者数は約35万人にものぼり、さらに増加の一途を辿っています。
腎臓は健康な身体を維持するためのさまざまな機能をつかさどる重要な臓器です
老廃物などの不要成分を尿として体外へ排出する機能
腎臓は全身を巡る血液を濾過して老廃物や余分な塩分などを尿として体外へ排出する重要な役割を担っています。腎臓機能が低下すると正常に尿を排出できなくなり、有害物質が体内に蓄積されることで尿毒症など徐々に生命に関わる重大な事態へと発展しやすくなります。
血圧をコントロールする機能
血圧の上昇下降を正常にコントロールするためには体内の水分量と塩分量の調整が必要です。腎臓機能が低下すると余分な水分や塩分の排出が行われなくなるため血圧上昇が起こります。また、腎臓内では血圧を維持するためのホルモン分泌も盛んに行われているため、さらに重大な障害が起きるようになります。
新しい血液を作り出す機能
血液(赤血球)は骨髄内にある細胞と腎臓内で分泌されるエリスロポエチンと呼ばれるホルモンによって日々作られています。腎臓機能が低下すると体内で十分な血液を作ることができなくなり貧血が起こります。
健康な骨を維持する機能
強い骨を作るために不可欠となるカルシウム成分を、さらに体内に取り込みやすくさせるために腎臓内では活性型ビタミンDが作られています。腎臓機能が低下するとこの活性型ビタミンDも低下し、質の悪い骨が作られるようになります。
以下のような問題がみられる場合には早期にご受診ください
- 健康診断や人間ドックなどで尿蛋白の異常が指摘された方
- 血液検査で腎臓に関する数値の異常がみられる方
- 高血圧症や糖尿病などの疾患をすでにお持ちで腎臓病を合併する可能性の高い方
- 降圧薬を使用してもなかなか血圧の改善がみられない方
- 血尿や尿の泡立ちなど尿に関する異常がみられる方
- 体のむくみが気になっている方
- 貧血症状が起こりやすい方 など
代表的な疾患例
慢性腎炎
慢性腎炎にはさまざまなタイプがありますが、主に血液の濾過が行われている場所(糸球体)に炎症が起こることが原因となります。蛋白尿や血尿などといった症状が長く続き、長期間に渡るほど腎不全に陥るリスクが高まります。診断には尿検査を用い、蛋白や赤血球などの排出量を詳しく調べることが必要となります。
糖尿病性腎症
糖尿病による合併症のひとつで、人工透析治療を必要とされる患者さんが日本で最も多い疾患です。糖尿病が長期にわたると全身の動脈硬化が進み、腎臓内で血液を濾過する場所(糸球体)においても血管が破壊されるため老廃物の排出が困難となります。初期の段階では特別な自覚症状はありませんが、進行するとむくみや貧血、高血圧などといった問題が特徴的に現れるようになります。
急性腎障害
数時間から数日の間に急激に腎機能が低下してしまう病気です。過度な脱水や出血による腎臓への血流低下や、腎臓内での炎症、尿路の閉塞による障害などさまざまな原因によって正常な尿の排泄や血圧調整が行えない状態に陥ります。尿量の低下やむくみ、食欲低下、全身の倦怠感などが特徴的に現れるほか、救急医療を必要とする重篤な症状も少なくありません。早急に原因を究明し、透析治療などを用いて体のバランスを整える必要があります。
腎臓疾患に対する特効薬は残念ながら今のところありません
腎臓疾患の治療の難しさは、特効薬と呼ばれるものが存在しない点にあります。まずは現状を正しく理解し、今以上に悪化させないために血圧や血糖値を適切にコントロールする取り組みが重要となります。腎臓は一度悪くするとそれ以上の改善が見込めない臓器です。重症化すると入院治療や透析治療が必要となられるケースも実際の診療現場においては大変多くみられています。長期に渡って根気強い治療が必要となりますので、まずはご自身の状態を正しく精査し、治療に対して真っ直ぐに向きあう姿勢が大切となります。
当院の治療方針
腎臓内科では何よりも異常の早期発見に努めています。万一、はっきりとした原因にたどり着けなかった場合にも、当院では食事療法を中心とした生活習慣の改善を図るための効果的なプログラムのご案内や、血圧や血糖値の適切なコントロールを図るためのさまざまな角度からのご提案を行いながら患者さんを力強くサポートいたします。
当院では日本腎臓学会の専門医資格を有するエキスパートな医師がお応えいたします
腎臓の専門医資格を有する医師はまだ日本でも数少ないとされています。当院の郡山仁志医師は日本腎臓学会の専門医資格を有するエキスパートな医師であり、確かな知識と豊富な診療経験に基づく多彩な治療提案を行っております。多角的な視点を持って患者さんを日々力強くお支えいたしており、さらに専門性の高い治療や透析に関するご質問やご相談などについても広くお応えいたしております。相談窓口としてもどうぞお気軽にご利用ください。
診察の流れと各種検査について
まずは医師による問診や各種検査などを通じて現在の状態を確認させていただきます。塩分制限などの食事療法をはじめ、血圧・血糖値のコントロールを適宜図っていく治療が基本スタイルとなります。初期の段階ほど食事療法は非常に重要な取り組みのひとつとなります。
血液検査
現在の腎臓機能の状態を調べるために有効な検査となります。特にeGFRは腎臓のはたらきを表す数値となり、数値が低い場合には機能低下を生じている可能性が高くなります。
尿検査
尿を採取し詳しい分析を加えます。尿蛋白の数値をはじめ、尿素窒素やクレアチニン、尿潜血といった項目に腎機能の低下が現れやすくなります。
腹部エコー検査
必要に応じて超音波検査を当院にてお受けいただけます。
さらに高度な検査や治療が必要となった場合には、近隣の高次医療機関と密に連携し切れ目のない治療をご提供いたします
診断の結果、腎臓の細胞診や透析治療などといったさらに専門的の高い検査や高度な治療が必要となった場合には、近隣の高次医療機関と密に連携し迅速な治療実現に努めております。
【提携医療機関(例)】
- 神戸市立医療センター中央市民病院
- 神戸労災病院 など
腎臓疾患は生活の質(QOL)を大幅に低下させるため早期に適切な対策を―
重症化すると専門の医療機関へ週3回の透析治療など頻回な通院を余儀なくされるほか、1回の治療に約4~5時間といった長時間の滞在が必要となります。仕事や家事に対する不安が膨らむだけでなく、旅行や急な予定変更が難しくなるなど、今までの生活とは打って変わって日常のさまざまな場面で制限や問題が生じるようになります。生活の質(QOL)が著しく低下しやすくなるため、心身ともに安定した穏やかな毎日を守るためにもぜひ早期の具体的な対策を意識していただきたいと思います。
健康診断や人間ドックなど定期的なご自身の健康状態を確認する機会を大切に―
腎臓病を患われる方の多くはやはり中高年となります。年に一度の定期検診などを通じて、ぜひご自身の健康状態を確認する機会を積極的に設けていただけたらと思います。腎臓は初期の段階ほど自覚症状がなく、なかなか異常に気づきにくい臓器ではありますが、血液検査や尿検査など一般的な検査項目の中でも数値的な異常は見つけやすいこともまた真実です。検査の結果、何らかの異常が指摘された場合には長期間放置せず、早期のご相談を切に願います。当院には腎臓病に関する豊富な知識と経験を併せ持つ専門医が在籍しております。さまざまな角度から多彩な治療法のご提案が可能ですのでぜひご相談ください。